第10回 睡眠・認知症予防シンポジウム
2月23日に「第10回 睡眠・認知症予防シンポジウム」(オンライン開催)に参加しました。
レジメが22枚という濃密さ、その一部を報告します。
【主催】
中部大学生命健康科学研究所
睡眠・認知症予防プロジェクト中部大学推進センター
【メインテーマ】
睡眠負債と社会的ジェットラグの影響とその対策
駒田陽子先生 (明治薬科大学)、宮崎総一郎先生(中部大学)
●社会的ジェットラグ(社会的時差ボケ)とは━
その人が本来持つ体内時計や睡眠欲求に従った時間帯と、社会が求めるスケジュールに従った睡眠時間帯とのずれを指す。
つまり、平日の睡眠と休日の睡眠に生じる差のこと。
社会的ジットラグは海外移動によって生じる時差ボケほど大きくないが、
毎週末ごとに繰り返される慢性的なジェットラグが心身に様々な影響を及ぼすことが指摘され始めている。
◆生活の夜型化が進み、睡眠時間が短縮している。(過去60年間の日本人)
1960年 午後11時には9割の国民が就床 (睡眠時間8時間超)
2020年 午後11時には半数者が起きている (睡眠時間7時間12分)
※睡眠負債は、大人だけでなく子供にも波及している。
◆睡眠負債と社会的ジェットラグが心理的社会的問題に及ぼす影響
(ペンシルバニア大学の睡眠・時間生物学研究所による 2003)
4~6時間程度の睡眠を2週間続けることは日常的によく経験することであり、
昼間のパフォーマンスに影響は出ていないと思いがちだが、
実は脳機能は1~2日徹夜をした時と同じ状態になっている。
慢性的な睡眠不足の状態下では、
自分の眠気やパフォーマンスを正しく評価できていないことを示している。
(精神作業検査、作業記憶課題、計算課題、認知機能)
◆睡眠と認知症
中高年期(50歳、60歳、70歳)に、睡眠が6時間未満の人は、
7時間以上の人と比べてアルツハイマー型認知症を老後に発症するリスクが30%高い。
◆社会的ジェットラグと眠気
小学校5年生から高校1年生を対象として行った調査では、
社会的ジェットラグは平日の睡眠時間と独立して日中の眠気に関連しており、
社会的ジェットラグが1時間を超えると、睡眠が足りていても日中の眠気水準が高かった。
◆睡眠負債や社会的ジェットラグと精神的健康の低さ
抑うつ状態が最も低い群
→男子中高生では8.5-9.5時間、女子中高生では7.5-8.5時間の群
抑うつ状態が有意に高い群
→男女とも睡眠時間が7.5時間の群
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上記以外に生理的な数値に関するデータ報告もあり、
睡眠負債だけでなく、
社会的ジェットラグも含めて心身の健康に影響を及ぼすことが明らかになってきています。
社会のあり方の見直しも必要ですね。
私たち個人としても、睡眠時間を確保できるようにライフスタイルを組み立てていきたいものです。
今回、座長を務められた宮﨑総一郎先生には、2017年に弊社にてお話いたたき、お世話になりました。
※ホリスティックウェルネス スタッフブログ : 講座報告「質の高い睡眠と“脳力向上”」 (holistic-wellness.jp)
投稿者:高井貴容 更新日:2022年2月25日