鎌倉時代の「兵糧食」から学ぶ
知人宅にて、<鎌倉時代の「兵糧食(ひょうろうしょく)」を味わう会>が開かれ、参加してきました。
兵糧食とは、戦争時における武士の食糧を指します。
まず、最初に登場してきたのは、経木に包まれた「おにぎり」でした。
なんと、この「おにぎり」は、「もち米」のみで作られていたのです。
写真右側は、もち米と塩のみ。添えは、「梅干し」。
写真左側は、もち米のおにぎりに「ひしお味噌」を添付したもの。
「もち米」と言えば、お赤飯のおにぎりは食べたことはあるのですが、「もち米」だけとはシンプルですね。
どんな味がするのだろう??? あまりにもシンプルで想像すらもできませんでしたが、
‘モチモチ、しっとり、ずっしり、さっぱり’そんな味覚でした。
わかります? この味覚感覚。
梅干しは、昔から重宝な食べ物ですね。
疲労回復、抗酸化作用、殺菌作用等のクエン酸の働きは、武士の行軍力や持久力のものになっていたんですね。
おにぎりに添えられた「ひしお味噌」を見て、家で作った、大きなガラス瓶に入っている「ひしお味噌」を最近食べていないことに気づき、どんな味になったか食べてみなくては・・・と忘れていたその存在を思い出しました。
「芋茎(ズイキ)」のみそ汁もいただきました。
「芋がら」と言われる乾物があることを料理本で見かけることがあったのですが、あまり実家でも食べなかったので、この日、初めていただきました。
乾物である「芋茎」が水分で程よい硬さに戻されており、素朴な味でした。
おにぎりとみそ汁を食べ始めると、 「焼き玄米」と「干したもち米」が回ってきました。
前者は、登山に行く人が、昔は持っていたと聞いたことがあったのですが、「もち米」も炊かないで持ち歩くことがあったんですね。
どちらも固く私には食べ辛かったので、少しだけ頂戴しました。
その他、 「炒り豆」、「納豆」、「煮干し」、「味噌玉」、「3種の炒り豆」も経木の上に載せていただきました。
もう、お腹いっばいで、おにぎり1個と「兵糧丸(ひょぅろうがん)」は、持ち帰りました。
兵糧丸は1日に2~3個ずつ食べれば1週間は戦えたといわれる総合栄養食だったそうです。
特に決まったレシピはなく、原材料は、ソバ粉・はと麦・ゴマ・蜂蜜・砂糖などがベースだったようです。
私が持ち帰ったものは、野球ボールより少し小さいくらいの大きさで、ほどよく固く、密度濃く粉物をしつかり練って固めあげた感じのものでした。
とってもきれいに丸めてあって感動!
味は、さっぱり。腹持ちもよいように感じました。
あまり深く考えないで、参加した食事会でしたが、いろいろと発見がありました。
最近の「食」は、目で見て楽しみ、舌で楽しむことが増えてきました。 ここで忘れてはならないのは、体も楽しみ喜んでいるか?!ということ。
今日いただいた兵糧食は、
体が喜び、力がみなぎる「食」でした。
落ち着いて咀嚼し、ひと口ずつ味わおうとする自分、少しずつ満腹になっていく過程、
体にエネルギーが巡る感覚、食べ物がカラダの細胞に転換されていくような感覚・・・
短時間の間にこのような感覚を覚えました。
近年は、飽食の時代と言われるだけあって、「食」の情報が氾濫しています。
‘カラダ(健康)に良い「食」’について、様々な主張がなされています。
本当に大切なのは、何?
そんなことを問いてみたくなることもあります。
日本古来の素材を丁寧に味付けした素朴な「兵糧食」、
私は、こんなところに「食」の原点を見出しました。
これこそ、「温故知新」!
カラダを作る「食」の基本は、昔の人の「食」にある!
投稿者:高井貴容 更新日:2015年6月30日