映画『千年の一滴 だし しょうゆ』
平成25年12月、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたのをご存知ですか?
「自然を尊ぶ」という日本人の気質に基づいた「食」に関する「習わし」を、
「和食;日本人の伝統的な食文化」と題して、ユネスコ無形文化遺産に登録されたようです。
こんな折、『千年の一滴 だし しょうゆ』という映画があるよ、と聞いて早速見に行ってきました。
日本人が‘うまみ’を求めてたどり着いたのが、「だし」。
その大元は、昆布、しいたけ、かつおぶし。
北の海の恵み「昆布」のうまみ成分 :グルタミン酸 南の海の恵み「カツオ」のうまみ成分 :イノシン酸 山の恵み「しいたけ」のうまみ成分 :グアニル酸
小学生の子供たちも含めて家族総出で、昆布を海水から引き揚げた後、天候に照らし合わせながら、海辺で乾燥させたり湿らせたり・・・丹念に仕上げをする北の家族。
しいたけ作りの名人は、焼畑農家を営む90歳を超えるおばあちゃん。ひとりで山(森)の中に入っていくんです。
ルビー色の鰹節を作る本枯れ節の職人。
生産者さんたちが、厳しい自然環境の中で採取してくれ、丹念に仕上げてくれた素材を私たちは、「だし(うまみ)」として食しているんですね。生産現場の方々の苦労があってこそ。そこには、熟練の技術や知恵が詰まっています。
それらの「だし」で和食を作る料理長がいて、おいしいお料理が出来上がります。
ちょっと本筋から離れてしまいますが━
これらの映像を見て、生産者さんたちとおいしい高価な和食を食べている人たちの経済格差のようなものを感じ、少し心が痛みました。
丁寧にいただかなければ・・・。
さて、日本固有の麹菌(=アスペルギルス・オリザ)から作られる醤油、酒、みりん、味噌も和食の調味料として、和食を支える大切な調味料です。廃業をしていくところも多い中、昔ながらの製法で頑張ってこれらを作ってくれている職人さんたちもいます。麹は日本の食文化を支える縁の下の力持ち。
「もし、明日死ぬとしたら何が食べたい?」と聞かれた時、
私は「‘炊きたてのご飯’ と ‘温かい味噌汁’ ‘焼きさけ’ ‘漬物’
そして、できたら ‘煮物’ があれば最高。」と答えたことがあります。
今では、日本にいて世界各国の料理が食べられるし、自分で作ることなく外食やインスタントで食事をすますことも多くなってきた世の中です。
やっぱ、和食はいいですね。
私が映画を見に行った日は、「だし」のふるまいがあって、2杯もいただいてしまいました。
上品でやさしい味でした。
投稿者:高井貴容 更新日:2015年2月19日