アーユルヴェーダ 睡眠
アーユルヴェーダの古典『アシュターンガ・フリダヤ』総論編第7章に、睡眠について以下のような記述があります。
(※アーユルヴェーダ:インド伝承医学)
「幸福、不幸、滋養、痩身、体力増大、体力減少は睡眠の支配下にあり、精力増大、精力減退、有知、無知、生存、死も睡眠によってコントロールされている」
すなわち、睡眠を制する者は、人生を制する ということなんです。
睡眠は、毎日の健康のためだけでなく、長い目で見れば長生きと若返りにまで関係します。 寝不足は、長期的にみると特に自律神経に悪い影響を与えます。また、動脈硬化が進むので、高血圧の人は夜更かしをしてはいけないとも言われています。
かといって寝過ぎはよくありません。寝過ぎることは、経路の閉塞を起こし、栄養素や老廃物の輸送が円滑に行われなくなって、様々な病気に結び付くと言われます。また、精神面では、無知・無学をもたらし、ネガティブな気持ちを心に増やすので気難しくなったり、自己中心的になったりすると言われます。(アーユルヴェーダ)
●起床・就寝時間
アーユルヴェーダでは、望ましい起床・就寝時間を定めています。
最も理想的な起床時間は、スピリチュアルなエネルギーがあふれる時間。
それは、「日の出の96分前(1時間半前)」なのですが、これはなかなか酷な時間ですね。
目安としては、6時くらいととらえても良さそうです。(望ましい睡眠時間は約8時間。)
この時間は、「夢が実現する」起床時間 らしいですよ。
早朝のことを「宇宙意識(ブラフマン)」の時間、英知の時間」というそうです。宇宙意識の波動と私たちの波動が統一されやすい時間であることから、そのような大事な時間を眠って過ごしてはいけないとされています。この時間を起きて有意義に過ごしている人は、破壊的な行為が減り、その人生からは事故や失敗がなくなって代わりに知識にあふれた幸福な人生が送れる、というのです。
ここまで知ってしまうと、なんとか早起きも頑張れそうな・・・。
●寝る時の姿勢
古典には、「○○を守る人は100歳まで生きる」と掲げられている中の一つに、
「左わきを下にして横向きに眠る」ことが書かれてあるそうです。
人が呼吸をしている時、右鼻の息が温性(太陽)のエネルギー、左鼻の息が冷性(月)エネルギーをそれぞれ代表しており、睡眠中は知らないうちに冷性のエネルギーが優勢になり、この状態の時に代謝機能が落ちると言われています。
ところが、左わきを下にして横向きに寝る姿勢を保っておくと、右の鼻孔で呼吸を(温性)することが優勢になり、体内の代謝がよく行われ、経路の運送が上手に行われるようになるとのことです。
注:寝つきの悪い人は、これとは逆に、右側を下にして、冷性のエネルギーを優先して寝ることが勧められています。
●寝る前の振り返り
平和を望み、感謝して明日からのことをボジティブに考える、この少しの時間を持って眠ることをアーユルヴェーダではとても大切にしています。
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上記内容は、アーユルヴェーダのクリシュナ先生の著書である『アーユルヴェーダの強壮学』に書かれています。かなり前に購入したものですが、今読み返してみて以前より深く納得し、新たに意識して実践しようと思うこともいくつもありました。
昔、クリシュナ先生の講義を何度か受けたことがあるのですが、とっても頭の切れる方で、そのことにいつも大変驚いていました。理論的に分かりやすく、無駄のない日本語、そしてリズム、終了時間に1分と違わずまとめ上げるその知的な技能はどこらか生まれるのか??? いつも不思議に思っていました。
その明晰な思考回路と言動の源は、もしかしたら睡眠にあったのかもしれないと今ふと思います。
この度、弊社代表・片平の共著『100歳まで元気でぽっくり逝ける眠り方』が発刊されましたが、睡眠の重要性を自律神経・血流・代謝等の側面から生理学的に分かりやすく説明してあります。また、睡眠状態をいかに理想的な状態にもっていくかを実践例等も交えて掲載しております。ご一読いただければ幸いです。
睡眠の重要性は、古代も現代も変わることがありません。
投稿者:高井貴容 更新日:2013年11月11日